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◆ボールパイソンの飼育メモ
作成日:2010.09.11  更新日:2011.04.01


ボールパイソンの飼育メモを入門程度に簡単にまとめておこうと思います。
基本的に蛇に必要になるのは、サイズに見合ったケージ、野生環境の温度・湿度を再現できる器具、隠れ家、飲み水、水浴び場が最低限必要と思って頂ければま ず間違いはないと思います。
最も重要なのは、その蛇の生息している環境を知ることだと思います。
ブラックラットスネークの飼育メモと内容が重複することは多いです。飼育下に限って言えば、温度や湿度などの環境面以外の飼育用具等は似通っていると言っても過言ではないと思います。

■基本的な性質
基本的には臆病で神経質なものだと思っておいた方が良いように思います。 触られる事を嫌う爬虫類の中でも特に触られる事を嫌う生物と言える気がします。 神経質な個体はちょっと触れただけでボール状に丸まってしまいますが、比較的幼い頃から触られ慣れさせる事でこの傾向は緩和されるでしょう。 だからと言ってベビーの頃からあまりべたべた触ってしまうとすぐに拒食したりするのでバランスは重要です。

またボールパイソンの寿命は恐ろしく長いです。人によっては人生の大半を共に過ごす事になります。飼われるボールパイソンも飼い主も不幸にならないために人生計画の一部として慎重に迎えられることを強く強くお勧めします。

■ケージ
 ベビーなら30cm程度のプラケでも飼育可能と言われていますが、徐々に体は大きくなって行き、すぐにプラケを卒業する事になってしまいます。ボールパイソンのベビーの成長はそれなりに早いので、餌をきちんと食べる健康な個体であれば半年もしない内に窮屈になるかと思います。ボールパイソンの成体には少なくともW90cm×D40cm×H40cm程度は必要と言われています。成長段階ではとぐろの直径の3倍程度の幅を持ったケースがあれば良いようですが、最初から成長を見越して大きなケージを買っておいた方が安心かもしれません。
 バーチ(止まり木)などを渡してやると高さを使った活動もするようですが、ナミヘビなどに比べると全長が短いため、枝等からは転落しやすいので安全面には配慮が必要です。
  ケージの材質自体はなんでもいいと思いますが通気性の確保が重要です。ただし、天井が目の大きな網タイプの場合、冬場やエアコンでの空気乾燥から呼吸器系の疾患に陥る事も多いので注意が必要です。そう言うケージを選ぶ場合、蓋の上にタオルを乗せるなどした上、加湿を行うようにしましょう。 通気性が悪いと排泄物によるアンモニア中毒(自家中毒)で死んでしまうこともあります。それからボールパイソンはかなり力が強いので、脱走されないよう強度のある蓋が必須です。

■保温・保湿
 ボールパイソンが好む温度はおおよそ26〜28度と言われていますが、暖かいところで32度、寒い所で22度程度の幅を持たせて置く方が良いようです。アフリカに生息しているため、暖を取る為の高温部と、上がった体温を下げるため高温から逃げられるスペース、多湿な箇所と乾燥した箇所のメリハリが必要です。温度に幅を持たせる理由はわざわざ書くまでもないと思いますが、あえて書くとすれば爬虫類は変温動物だから…と言うのが理由になりますでしょうか。
 湿度に関しては、脱皮の際にある程度の湿気を要求しますし、野生下では巣にする場所は湿っている事が多いとも言われています。シェルターの中に軽く湿らせたミズゴケを置いてやる等して部分的に湿度は確保してあげましょう。脱皮前には特に湿気を必要とするので、ケージ内の湿度を見つつ霧吹きなどで調整してやりましょう。
加温をパネルヒーターだけに依存していたりすると、冬場等必要な空気温度を確保しようと思うとヒーター面がかなり熱くなるので低温火傷の原因にもなりますので注意が必要です。

■床材
 色々なものが使えると思いますが、新聞紙などが一番使い勝手が良いように思います。 個人的な感想ですが、ペットシーツ等の吸水性の良過ぎるものは脱皮時に必要な湿気までも吸ってしまうので、脱皮不全の原因になる事が多いように感じます。また、大型の蛇になるとペットシーツを飲み込んでしまう事故もあるようです。

■水容器
 水容器は二つ用意してやるといいと思います。一つは全身がどっぷり浸かれる程度の広さで浅めの水入れで、もう一つは飲み水用のやや小さな水入れです。 脱皮の前になると大量の水分を摂取したり、水に全身浸かる事も少なくないので用意してやるようにしましょう。 どちらの水も必ず新鮮な水を用意してやる事が大事です。

■シェルター
 特に人馴れしていない個体には必須だと思います。 水容器やシェルターなどは多少ゴツゴツしたものを選んでやると脱皮時の取っ掛かりにするので、どちらかはそう言ったものを用意してあげましょう。 たとえ人馴れしている個体でも人間には蛇の感情までは見てわかりませんので、蛇が隠れたい時に隠れられるよう用意してやって損はないと思います。常にストレスを感じているのは拒食の原因にもなるとも言われているので、無用な拒食を避けるためにも用意しておくべきでしょう。

シェルター


 なお我が家の個体は上のようなシェルターを用意していますが、平常時は写真のように顔だけ出しており、脱皮前やしっかり寝たい時は奥に潜り込んで出てこなくなります。
観察上出てこないとつまらなく感じるかも知れませんが、出てこないという事はボールパイソン自身は隠れていたいと言う事だとも言えるので、隠れる/外に出るを生体が自由に選べる環境にするのが一番だと思います。環境にも慣れて落ち着いてくると、空腹時等元気に餌を探し回って徘徊する姿も自然と観察できるようになってきます。

■餌
 基本的に餌はマウスです。ベビーの頃からファジーやホッパー以上が主軸でピンクマウスはまず与える必要はないと言われています。以降は成長に合わせて胴回りよりわずかに細いサイズのマウスを与えるといいと思います。若いうちは5日に1回1匹程度、アダルトでは1週間〜2週間に1回程度で良いでしょう。
食欲旺盛な個体であれば、ピンセットからの給餌でも元気よく飛んできまて餌を締めるパワフルな姿を見せてくれます。

マウスを締めるボール


餌をちらつかせても食べるそぶりを見せない個体は、餌の頻度を見直すか、シェルターの前に置き餌をして一晩置いておく等して対応してみてください。(夏場暑い夜に腐敗させないよう注意して下さい)

首の皮は結構伸びる


首が細いので大きな餌を食べられるのか不安になってしまうかもしれませんが、上の写真のように首の皮は結構伸びるので胴回り程度の太さなら大丈夫と信じてやってみるとよいでしょう。成体になったら全長、胴回りのバランスを見て、マウスからラットへシフトする事も検討しましょう。基本的に急成長を促したいのであれば1度の食事は餌を1匹、可能な限り大きいものを…が普通ですが、普通に育てたい場合は無理のないサイズの餌を安定供給するほうが重要です。個体によっては大きな餌を嫌い、小さめのマウスしか食べないケースもあるのでその辺りは生体と相談で決めてください。

■拒食
 性成熟した雄の発情期を拒食と言うのであればよく拒食する生物ですが、拒食するかどうかは個体差によるもの、環境に依存する所の2点が大きい気はします。(私はまだ拒食する個体に当たった事はありません。) どうしても拒食をする場合は環境の問題をまず疑うべきだと思います。温度・湿度は最適か、水は新鮮か、シェルターは設置されているか、触りすぎていないか、食べた分(※)排泄できているか、脱皮の準備に入っていないか、餌が大き過ぎないか…などなど。 それらを改善しても良くならない場合は素直に獣医師の診断を仰ぐことをお勧めします。
 ただ、ボールパイソンの、特にオスにおいては通常生後1〜2年目以降の発情期には餌を食べなくなる事があります。 日本ではこの発情期と言うのは11月〜4月ぐらいの冬〜春に相当し、それなりに長い期間餌を要求しなくなります。 この期間に入る前にはしっかり栄養を与えておきましょう。また、発情期に入っても何週に一回かは捨てる覚悟で餌をチラつかせて様子ぐらいは見てやったほうが良いと思います。
 またこれ以外にも、充分に育った成体は極端に餌の要求が落ちる事もあるため、どれだけの期間食べなければ拒食と言っていいかは正直微妙な所です。長いと年単位で食べない事もあるようなので、生体の体格と相談して餌の頻度を決めると良いかなと思います。 (※ボールパイソンの排泄は3〜5回分ぐらいまとめて排泄することが多く、1回食べたからと言って次の餌までに必ず排泄しているとは限りません。)


■脱皮

脱皮


健康な個体であれば、上の写真のように一枚皮が剥けます。脱皮の皮がボロボロにちぎれて散乱しているようであれば、脱皮の際明らかな湿度不足だったと思われるので、次回脱皮の際にはシェルター内をよく湿らせておく等加湿をしてみてください。

■脱皮不全
 栄養不足か、湿度不足が原因であることが殆どだと思います。 それらの環境を疑ってみて改善しないようであれば、獣医師の診断を仰ぐのがベストでしょう。

■繁殖
  色々な方法があり、どれが正解かまだ具体的にわからないのが実情だが、基本的には温度を下げた期間を一定期間設け、その後昼夜で温度差をつけた期間を作り、オスとメスを同居させる形がスタンダードなようだ。繁殖に使うのは1.5kg以上の雌と、600g以上の雄が一般的…とされているが、雄が発情しない事にはどうにもならない。
 日本では秋口等、自然に温度が下がる時期ぐらいからケージ内を24度位の一定に保ち、その中で生体を数週過ごさせた後に、今度は日中28度前後、夜間24度前後の温度差をつけた期間を作り、その間に雄雌を同居させる。生体がしっかり隠れられるような状況(ケージのガラス面をタオルなどで目隠しするとか)を作って1週間位同居させてみればうまくいくかもしれない。交尾確認後の雌は普段より小さいサイズの餌からスタートし、徐々に餌のサイズを上げていくと良いだろう。
  産卵は最終脱皮から20〜40日後と言われている。卵はハッチライトや湿らせたバーミキュライトを敷き詰めたインキュベーターに設置し、28〜31度位で管理すると良い。当然爬虫類の卵なので転卵をしてはいけない。

■雌雄判別
 見た目ではまず判別がつきません。 幼体にはポッピング、成体にはプローブを使用で判別するのが一番だと思いますが、慣れない人がやると蛇を負傷させてしまうことが多いです。具体的な方法を知りたい方は、熟練されている方に直接アドバイスを受けて下さい。
 幼体はポッピングでヘミペニスを確認できれば雄、確認できなければ不明のままと判別するのが通常で成体の場合は熟練者でも間違うケースが多く雌雄判別が難しいと言われています。正確に判定したいのであればレントゲンで判別して貰う方が早いかもしれません。




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